加圧ベルトは一見、腕や脚を縛るだけの単純な物に思えますが、緻密な理論を元に開発されています。
重要なのが、その伸縮性。トレーニングをしていると、ベルトを巻いている腕や脚の周囲径が一時的に太くなります。ベルトに適度な伸縮性がないと圧力を一定キープできず、血流を完全に止めてしまう、いわゆる止血状態になる可能性もあります。この状態でトレーニングを行うと、血栓ができ、肺塞栓などを起こす恐れがあり、非常に危険です。なので、決して見よう見まねで代用品を使ったトレーニングをしないでください。
適度な伸縮性を持たせるために、初期の加圧ベルトはウェットスーツに用いられているネオプレンを使用していました。このネオプレン製のベルトに様々な改良が加えられ、現在では装着感、耐久性などを考えた特殊5層構造の生地が使用されています。
現在、ジムなどでメインに使われているのは、空圧式のベルトです。これは空気を入れるためのチューブを内蔵しており、ベルトをエアコンプレッサーに接続することにより、ボタンひとつで圧力を制御できます。締める強さによってのみ圧力を調整する手巻き式に比べ、装着感がソフトで、また、トレーニング内容に合わせて手早く圧力調整ができる、こまめに除圧できるなどの利点があります。これの登場によって加圧トレーニングは大きく進化し、高齢者トレーニングやリハビリなど幅広く応用されるようになりました。
手巻き式の物は、軽さと薄さ、そしてチューブなどがついてないことによる動きやすさという利点を生かし、当プラザでは有酸素運動やボクササイズ系の運動に使用しています。
「空圧式」のものも2種類を用意しており、それぞれの特性を生かしてトレーニングメニューに応じて使い分けています。
(上級加圧インストラクター・健康運動指導士/桂建三)